コラム

娘婿の連れ子には1円も渡したくない。良い方法は?(前編)

遺言者様が悩まれるよくあるケースとして、次のような場合があります。

 

娘さんの夫が再婚者であり、夫には前妻との間の子供がいる

 

現在の日本では3組に1組の夫婦は離婚するそうです。ですから当然このような問題も発生します。日本では女性は男性よりも平均寿命が長いですので、娘さんと夫(娘婿さん)を比較した場合、一般的には娘婿さんが先にお亡くなりになることが多くなります。上記ケースにおいても、娘婿さんが先にお亡くなりになった場合は相続では何も問題はおきません。ところがもし万が一、娘婿さんよりも娘さんが先にお亡くなりになった場合はどうなるのでしょうか? 娘さん名義の財産は、娘さんが亡くなった後に娘婿さんが相続することになります。もしお二人にお子さんが居れば娘婿さんは遺産の半分を相続します。もしお二人にお子さんがいらっしゃらない場合は、娘さんの遺産の全額(場合によっては2/3)を娘婿さんが相続することになります。そしてその後で、年月が経過して今度は娘婿さんが亡くなった場合、その財産は娘婿さんの子供(連れ子)に全額渡ってしまうことになるのです。つまり、財産の所有権はこのように推移します。

 

お父様(お母さま)の財産 → 娘さんが相続 → 娘婿さんが相続 → 娘婿さんの子供(連れ子)が相続

 

お父様からすれば、自分の遺産が娘婿さんに渡るところまでは我慢できるけれど、その連れ子は全くの赤の他人であり、そんなどこの馬の骨ともわからない人間が自分の遺産を使うなんて我慢ならん! と怒り爆発と言ったところでしょうか。果たして、この状況を回避する良い方法はあるのでしょうか?? どのような遺言書を書けばいいのでしょうか?
遺言書には条件を付けることができます。たとえば、「大学に合格したら300万円をあげる」というような条件です。このような条件は有効です。受遺者は大学を合格した時点で300万円を貰うことができます。ところが、次のような条件の遺言は無効になります。たとえば「娘に300万円を相続させる、娘が亡くなったらその時点で残っている遺産を甥に相続させる」というようなものです。このような遺言は認められません。なぜならば、もしこの遺言書が有効になってしまうと、娘さんは実質的に300万円を相続してないことになります。何故ならば娘さんの財産を誰に相続させるかは娘さんが自由に決めることができます。もし、先代の書いた遺言書によって娘さんが自分の財産の処分を自分で決められなくなってしまったら、娘さんは独自の権利を侵害されていることになってしまいます。ですからこのように財産を次の世代まで承継させるような遺言書は無効なのです。では、どうすればいいのでしょうか?
結論を言います。次の世代、または次の次の世代までの財産を承継させることは、『一定の状況下』においては可能です。遺言書では実現できませんが、家族信託という手法を使えば可能になります。たとえば次のように財産を移転させることが可能なのです。

 

お父様(お母さま)の財産 → 娘さんが貰う → 甥御さんが貰う

 

このように御自身の一族の中でお金を回すことができます。御自身の財産は娘さんにはしっかりと渡りますが、娘婿さんに財産が渡ることはありません。もちろん娘婿さんの連れ子に財産が渡ることもありません。これは家族信託の中の、「受益者連続型家族信託」とよばれる手法です。理屈の上では何世代にも渡って財産の行く先を事前に決めることが可能になる画期的な手法です。世間では家族信託の解説をしているサイトは沢山ありますが、そのほとんどは、家族信託=認知症対策として説明されており、このような遺言書の代用としての家族信託の解説はあまり見かけません。でも、私はこの「受益者連続型」こそが家族信託の真骨頂であると思っています。もう少し世間に知られても良いと思いますし、今は離婚の多い令和の時代ですので、需要もあると思っています。
とてもすばらしい「受益者連続型」の家族信託なのですが、では、この家族信託には盲点は無いのでしょうか? それはまた次回コラムにて・・・

 

安城市・西尾市・碧南市・高浜市・岡崎市・幸田町・豊田市・半田市・東浦町・阿久比町・南知多町・日進市・みよし市で公正証書遺言の作成はオフィスマイライフ行政書士事務所まで

-コラム