コラム

いらない土地について(その2)

令和5年から「相続土地国庫帰属制度」がスタートしました。相続した土地を一定の要件を満たせば国に引き取って貰える制度です。この制度ができるまでは不要になった土地の処分方法はありませんでした。ずっと塩漬けにしておくか、不動産屋さんに頼んで安く売りに出して誰かに買い取って貰うという方法が取られていましたが、塩漬けにするにも固定資産税は毎年支払わなければいけません。また、買い取って貰うにしても都会の土地ならまだしも、過疎地の土地はそう簡単には買い手が見つからないことが多いです。結局のところ、ずっとほったらかしになったままになって数年が過ぎ、相続が発生して次の所有者の手に移る、ということが繰り返され、共有名義で所有者がどんどん増えていってしまうという状況が続いていくことがよくありした。今は「相続土地国庫帰属制度」があります。一定の要件があり、費用もかかるのですが、一つの解決方法があるということは多少なりとも前進したと考えてもいいのかもしれません。
ところで、いらない土地を処分する方法は実は他にもあります。正確に言えば、処分するのではなくて要らない土地を放棄する方法です。要件は極めて単純で、費用もほとんど掛からず、確実に土地を放棄できます。その方法は、持ち分の放棄という方法です。民法には次の条文があります。

第255条【持分の放棄及び共有者の死亡】
共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。

これはどういうことかと言いますと、たとえばある土地があって、その土地がAさんとBさんの共有名義だったとします。ここでは持ち分の比率は特に問われません。このときAさんが自分の持ち分を放棄したらどうなるでしょうか? つまりAさんがBさんに対して

「この土地、もう要らないから放棄しまーす、Bさん、後は宜しく」

と宣言した場合、この土地はBさんの単独の所有物になってしまうのです。たとえAさんの持ち分が99%でBさんの持ち分がたったの1%だっとしても、理屈の上ではこの土地はBさん一人の所有物になってしまうというわけです。ここで重要なポイントは、土地が必ず共有名義でなければならないという点です。民法255条は共有者が居ない場合は適用されません。たとえば土地がもともとAさんの単独の所有だった場合にAさんがこの土地を放棄しても何もおきません(放棄することはできません)。どんな比率でもいいですし、共有者が何人いても良いのですが、共有名義であることが必要な要件となります。共有状態でAさんが放棄することを宣言すれば、Aさんはこの土地からトンズラできるというわけです。

ところで登記はどうなるのでしょうか? もともとAさんとBさんの共有名義だった土地の登記事項証明書には、Aさん99%、Bさん1%のように両者の共有名義であることが記載されているはずです。Aさんが放棄を宣言した場合、自動的に登記の名義からはAさんの名前が消えるのでしょうか??

結論から言えば、Aさんの名義が自動的に消えることはありません。Bさんの単独の名義にはなりません。実は私自身、この件に関してとある司法書士の先生に相談したことがあります。その先生がおっしゃるには、共有名義の登記を変更するには、他の共有者の協力がないといけない、つまりAさんを名義から消すにはBさんの協力が無いといけないとのことでした。ただ、要らない土地を押し付けられたBさんが名義変更に協力するはずもないので、結局のところ登記事項証明書からAさんの名前を消すことはできないのではないか、ということでした。登記事項証明書からAさんの名前が消えない限りは、結局はAさんは土地の所有者(共有者)であり続けることと同じになります。それは困ります。本当にAさんの名義を消すことは無理なのでしょうか? 民法255条は土地の共有では使えない法律なのでしょうか? どうにもならないのでしょうか??

この話の続きはまた後日・・・

安城市・西尾市・碧南市・高浜市・岡崎市・半田市で公正証書遺言の作成と相続手続きはオフィスマイライフ行政書士事務所まで

-コラム