コラム

いらない土地について(その4 完結)

昨日のお話の続きです。共有名義の土地の、自分の持ち分を放棄したいときは弁護士に依頼して手続きをすれば、放棄は可能だというお話をしました。これで不要な土地(持ち分)からトンずらすることが可能となります。ただ、放棄できない場合もあるかもしれませんので、詳しいことは弁護士の先生にお聞き下さい。また、裁判なんて大袈裟なことをしたら費用も沢山かかるからやりたくない、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、今後、不要な土地(持ち分)を永遠に持ち続けるくらいなら、一時的な出費はあるかもしれませんが白黒はっきりさせたほうがいいという考え方もあります。それに、必ず裁判が行われるとは限りません。放棄された側の人(Bさん)は裁判までして余分な費用をかけたとしても、結局は負けてしまう可能性が高いのなら、裁判が始まる前に諦めて名義変更の登記に協力して貰える可能性も高まります。やり方次第では、費用は安く抑えられる可能性もあります。

ところで、弁護士の先生はどうやって探せば良いのでしょうか? これは私の体験談なのですが、弁護士の先生を探すのは非常に苦労しました。今の時代、ネットで弁護士事務所を検索しますと、あれもこれもというくらい沢山の弁護士事務所が出てきます。その中から、土地の揉め事を解決してくれそうな弁護士を探すのが予想外に大変でした。東京には多くの弁護士事務所がありますが、もし裁判になった時に弁護士の先生に東京から出張していただくには多額の出張費がかかってしまいますし、何よりも初回の相談で自分が東京まで行くのも大変です。ですから最初から愛知県内を限定して弁護士事務所を検索しましたが、なかなか見つかりません。数時間かけて検索して、ようやく愛知県N市に事務所を構えるそれっぽい弁護士事務所を見つけました。こちらの要望を書いてメールしたのですが、弁護士事務所から届いた回答はなんと!

弁護士「持ち分を放棄するのは無理です。不動産屋さんに相談して下さい。」

えーー?! 弁護士の先生に相談したのに、不動産屋さんに相談しろって、いったい何???
これにはびっくりして、返すことばも出て来ませんでした。気を取り直して再びGoogleでネット検索をしました。今度も同じ愛知県N市で不動産の揉め事も見ていただける弁護士事務所を見つけました。今回はメールで簡単に概要を説明した後に、現地の弁護士事務所を訪問して、直接弁護士の先生に話をしました。その結果、、

弁護士「Aさん(私のこと)の持ち分を放棄するのはちょっと難しいですね。Bさんと交渉して持ち分を引き取って貰う、という流れになります。」

えーー!? やっぱり持ち分の放棄って出来ない???
2人の弁護士の先生に連続して「無理」と言われたので、だんだんと私の考え方が間違っているのではないかという気になってきました。もうどうにもならないのかと思いつつも、更に時間をかけてネット検索し、今度は愛知県の別の市の弁護士事務所を見つけました。ホームページにはいろんな案件を取り扱っていると書かれていましたので、再度気を取り直してこの弁護士事務所にメールしました。そうしたら数時間後に

「土地の持ち分の放棄はできます。事務所に来て下さい。」

というような内容の返事をいただきました。数日後に実際にその弁護士事務所を訪問して、弁護士の先生にこれまでの経緯を説明しました。弁護士の先生は淡々とした表情で、「大丈夫です。わかりました。」と仰っていただけました。私は一安心したと同時に、もしかして弁護士の先生にも得意不得意があるのではないか? と考えるようになりました。お医者さんでしたら「◯×内科」ですとか「△□耳鼻咽喉科」のように、病院名でその先生の専門はすぐにわかります。一方で弁護士事務所の場合は「不動産科の弁護士」ですとか「刑事事件科の弁護士」というのはありません。いえ、あるのかもしれませんが、外見からは容易には判断がつきません。ですから私のような一般人が弁護士の先生を探すときはセカンドオピニオンですとか、サードオピニオンのように、何人かの弁護士事務所を訪問して、自分にやりたいことに一番精通している弁護士を探すのが良い、ということを思うようになりました。そしてこの部分が、ある意味一番難しいところでもある、ということにも気づきました。

以上、いらない土地(持ち分)を放棄するまでの長い道のりのお話でした。

(※内容は事実に基づいておりますが、個人または事務所を特定できないように若干脚色してあります)

安城市・西尾市・碧南市・高浜市・岡崎市・幸田町・豊田市・半田市・阿久比町・南知多町・日進市で公正証書遺言の作成はオフィスマイライフ行政書士事務所まで

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