コラム

遺言の執行は誰が行う??

公正証書遺言を書いて、これで一安心。ということになるのでしょうか? 遺言残して置くことは、御自身がお亡くなりになった後の相続手続きを円滑に行うための手段になります。ただし、公正証書遺言があるからと言っても、金融機関や法務局が自動的に名義を変更してくれるわけではありません。実際に、遺言書を持って銀行や法務局に赴き、名義変更の実作業をする人が必要になります。通常は相続人の誰かが遺言の執行をすることになるのですが、特別に人を立ててその人に遺言書の執行を一任することもできます。このような遺言書通りに名義を変更する実作業をする人のことを「遺言執行者」と言います。理屈の上では「遺言執行者」は必ずしも必要ではないのですが、現実的には、遺言執行者が居るととても都合が良い場合もあります。
遺産の分配というのはどの相続人にとっても重要な作業であることには確かなのですが、ただ、動く財産の金額が大きいので、相続人にとっては非常にデリケートで慎重な作業になります。忙しくてなかなか手続きが出来ない相続人の方もいらっしゃるかもしれませんし、それが元で相続人同士でギクシャクすることもあるかもしれません。そのような諸々の事情を考慮すれば、名義変更の作業というのは出来れば誰かにお任せしたいとお考えになることも多いのではないでしょうか? でも、よくわからない知らない人に頼むわけにはいきませんし、銀行や弁護士に頼むのは費用が高く付く可能性もあります。遺言者様がせっかく遺言書を残したとしましても、遺言書の執行の段階でドタバタしてしまったら元も子もありません。遺言書は執行されてこそ価値があるものです。そこでお勧めすることは、遺言書作成時に、遺言執行者を指定することです。遺言執行者は相続人に代わって全責任を持って相続手続きを遂行してくれます。
ここで重要となることは、誰を遺言執行者に指定すべきかということになります。遺言執行者は誰でも就任することが可能です。でも、私がお勧めするのは行政書士を遺言執行者に指定することです。行政書士は法律で守秘義務が課せられていますから安心して依頼することができます。また、他の士業に比べて比較的に安価に依頼することが可能です(費用は行政書士によります)。また、行政書士は弁護士のように、特定の相続人の代理人となって交渉することができません。逆に言えば、法律によって交渉が出来な為に、返ってどの相続人からも確実に中立性が確保されているとみなすことができます。行政書士は遺言者様とすべての相続人に対して公平に相続手続きを執り行うことが可能な職業と言えるのです。
よくいただく質問としまして、遺言書を執行する前に遺言執行者が亡くなっていたらどうするんだ? というお話をいただくことがあります。たしかに遺言執行者が先に亡くなってしまった場合、遺言執行者は指定していないことと同じになりますので注意が必要です。これを避ける為に通常は予備的遺言執行者を事前に指定しておきます。「行政書士Aが亡くなっていたら行政書士Bを遺言執行者に指定する」というような文章を遺言書に書いておきます。ようするに遺言執行者の補欠です。Bにはより若い人を指定しておけばより安心です。
当事務所では遺言執行者のご依頼も承っております。もちろん予備的遺言執行者のご提案もさせていただきますので、安心して当事務所にご依頼下さいますよう、どうか宜しくお願い致します。

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