昭和の高度成長時代、地方から東京や大阪などの都会へ大量の労働力が提供されました。金の卵と呼ばれて、中学校(または高校)を卒業した若い子たちが、列車に乗って都会へ集団で就職した時代がありました。日本は国内生産力が目まぐるしく伸びていき、都会の工場では大量の労働力を必要としていました。10代で両親の元を離れて、一人で都会で頑張って働いてくれた方々がいたからこそ、今の日本があると言えます。当時の若い人たちは、本当に一生懸命で仕事をしていました。現在でも頑張って仕事をしている方々は多いですが、当時の若者は、現代の若者とは「頑張っている」の程度が違います。当時の若者は本当に、寝食を忘れて自由な時間もほとんど無く、ただひたすら前だけを見て我武者羅に働いていました。
あれから数十年が経過して、日本は経済的には安定期に入って今に至っております。当時、都会に出て行った人たちは、今は70代~80代くらいでしょうか。既にご両親はお亡くなりになれており、当時10代だった方々はそれぞれの土地でそれぞれの生活を送っておられます。御兄弟で異なった都道府県にお住まいになっている場合も多く、残念ながら既にお亡くなりになっている方もいらっしゃるでしょう。この場合、この方々の田舎の土地(ご実家)はどうなっているのでしょうか? 御兄弟のうちの誰か一人が田舎に残り、ご実家の土地を相続される場合もあると思われますが、一方で、誰も住まなくなってしまって空き地(空き家)になっている土地も沢山あると思われます。遠く離れてた土地に住み、既に世代も変わってしまって親戚同士連絡も取って無い場合も多いことと思われます。実家の土地は、空き地(空き家)のまま、ほったらかしになっている場合も多いはずです。この事態はとても不幸なことです。なんとかならないものでしょうか? 寝る暇も惜しんで働いてくれた方々の土地や家が雨ざらしになっており、一方、現代の我々は安定して恵まれた生活を送っている。空き家問題は、相続問題と言われておりますが、本当にそうでしょうか? 私はずっと民間企業で働いていましたが、工場や商売をしていると土地はいくらあっても足りません。物を作る場所、保管する場所、机を置く場所、車を置く場所など、仕事をしいてるとすぐに手狭になってしまいます。商売をしている方々は、限られた狭い場所で工夫してた働いています。一方で、日本には所有者が不明の土地が九州の面積くらいあるらしいのです。そんなに土地が余っているならば、仕事をする為にその土地を使わせて貰えないものかと思ったりもします。空き家が増えた原因は高度成長時代における経済活動の結果であると言えます。そして今、経済活動する為に多くの事業者が安い土地を求めています。つまり、空き家問題や所有者不明の土地問題というのは相続問題というよりも経済問題として捉えることができると思っています。規制を緩和して、場合によっては法律を改正しても、土地が余っている状態を解消することはできないのでしょうか? 所有者不明の土地問題が議論になる場合、相続問題として捉えて相続の専門家が集まって話し合うのではなくて、経済問題として捉えて経済の専門家によってみんなで知恵を出し合って解決方法を模索していることが望ましいのではないかと、個人的な意見ですがそう思います。現在所有者不明となっている土地の多くは、日本の繁栄を作って支えてくれた方々の土地であり、現代に生きている私たちはその方々の恩恵を授かって生きています。空き家・空き地の問題を解決することは、現代に生きる私たち全員の責任では無いかと思います。
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