コラム

タンス預金はバレる?

タンス預金は税務署にバレるか? ということを解説しているサイトをよく見ます。ほとんどのサイトでは、「バレる可能性が非常に高いので辞めましょう」という結論になっており、私もそう思います。ただし1つ疑問があります。それはタンス預金は何の為にしているのか? という目的の部分です。ほとんどの解説サイトでは、タンス預金をする人は相続税を減らしたいという目的の為に、あらかじめまとまったお金をタンスの中に隠している、ということが前提になっています。果たして本当にそうでしょうか? タンス預金をする人は本当に相続税対策の為にやっているのでしょうか・・?
平成27年に相続税の基礎控除が少なくなった為に最近は相続税を納めなければいけない人が増えています。ですから税務署対策の為にタンス預金をする人もそれなりにいらっしゃるのかもしれません。でも、タンス預金自体はかなり昔から一般的に行われています。昭和の時代は出生数が非常に高く、御兄弟の数は今よりも多かったものですから、そもそも相続税を納める必要の無い方々は沢山いらっしゃいました。それなのにタンス預金は昔から行われていたのは何故なのでしょうか?
はっきりとした理由はわかりませんが、ただ、私の想像なのですが、タンス預金の目的は、一般に言われているような目的では無いと考えています。つまり、一般的にはタンス預金というのはお金持ちの人が税務署からお金を隠す為に行うものだと思われがちですが、そうではなくて、タンス預金というのは他の親族からお金を隠すために行われている場合も多くあると考えています。人間は誰でも、自分がいくら財産を持っているかということを人には知られたくないものです。特に高齢になって足腰も悪くなってきたときは、自由に金融機関に行くこと困難になってきます。日常生活でのお金の管理を子供や孫に頼むことも増えてくるのですが、そのときに、自分の全財産を子供や孫に知られたくないと考えるのは普通のことです。そのために、ある程度まとまった金額のお金を手元(タンス)におきたいと考えることも普通の流れだと思います。もちろん、急に何かあったときには手元に置いておいたお金を使って対処することもできます。今の日本は低金利ですので、まとまったお金を銀行に預けておくメリットよりも、手元に置いておくメリットをより強く感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか? それはそれで悪いことではないのですが、ただ、ここで大きな問題が発生します。それは、その状態で相続が発生した場合(お亡くなりになった場合)、タンスに隠しておいた現金はどうなってしまうのか? という疑問です。 果たして、タンス預金は発見されるのでしょうか?
税務調査が行われるほどの財産をお持ちの方の場合でしたら、税務署が発見してくれる可能性はあります。一方で、税務調査が入らない場合、つまり相続税を支払うほどの財産をお持ちでなかった場合は、タンス預金が発見されるかどうかは、正直なんとも言えません。発見されない可能性もあると考えたほうがいいと思います。
相続が発生したときに「お父さんの遺産が思ったよりも少なかった」と仰る相続人の方はかなりいらっしゃるようです。私も、そのような話をあちこちで何度も聞いたことがあります。本当にその方の遺産が少なかったのか、それとも実はどこかに隠してあって発見されてないだけなのかは知る由もありません。永遠にわからない場合も多く、それこそ、「真相はお父さんが墓まで持って行ってしまった」と言う事態に陥ってしまうことも多いのではないでしょうか。この状況を回避するには遺言書を書くしかありません。たとえタンス預金をしていたとしても、ちゃんと遺言書に記載しておけば、大切な財産が永遠に忘れ去られてしまう事態を避けることができるのです。

 

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